coalamogu

~農家一年生とゆかいな仲間たち~

前夜祭

なんだかんだで早一年。時が経つのも早いものである。 去年産声をあげた我が子ももうすぐ4か月。 あれからいろいろあって、現在は神奈川の実家に身を寄せている。 その「いろいろ」についてはまたの機会にお話することにして、 毎日すくすく育っている我が子…

シュガーモンスター

「味どうらくの里」 県内の名産品。一からだしをとり、お醤油、お酒、みりんなどで味を調えることができないばあちゃんにとっての必需品。スーパーで安売りされようものなら、チラシ片手に血気盛んにスーパーへ向かう。 味どうらくの里は簡単に言えばめんつ…

緑色の天国

私たちは再び野を越え、山を越えていた。 叔父同伴の元、私たちは大都会へ急いでいた。 そう、「秋田市」である。 「秋田には大曲よりもっと大きいイオンがある」「ドンキもあるよ」という言葉に心躍らせていた。どう考えても元都会人とは考えにくい行動であ…

夢のピザトースト

以前、こっちの人の「たばこ」好きを紹介したが、暇さえあればお茶っことお菓子片手にお茶している。 ただ、町中を見渡すとカフェは見当たらない。どうやらこっちの人はお家でお茶するのが好きみたいである。 大のベローチェ好きだった夫は暇さえあればベロ…

一大スペクタクル

東京でショッピングといえば 新宿なら伊勢丹 表参道ならラフォーレ 渋谷なら109 銀座なら三越 このあたりでショッピングと言えば、 「イオンモール大曲」 40を超える専門店と映画館、フードコート、スーパー。それにホームセンターが併設されている。スタバ…

虫に優しく

自然ゆたかな山里 虫たちも精一杯生きてます 迷い込んだ虫たちを網でやさしくすくってあげてくださいあいいの温泉鶴ヶ池荘の露天風呂にある注意書き。その脇には虫取り編みがかかっている。なんと、人だけでなく、虫にまで優しい。 湖畔の脇にあるこの温泉は…

鼓動

「あー、元気に動いてますね」近所の産婦人科の診察室の画面でパチパチと点滅するわが子の心臓を差しながら先生は語った。 足を全開に広げ、恥じらいをよそに食い入るように画面を見つめた。「はじめて見た時は感動して涙が止まりませんでした」などの体験談…

リベンジマッチ

さんない方面へ向け車を走らせていた。この前の吹雪と打って変わって快晴。 途中の澄んだ渓谷や穏やかな川の流れを横にぐんぐん進んでいく。 陽に当たってキラキラ光る雪は幻想的。 勘の良い方はもうお気づきだろうが、今日も例の目的地を目指していた。 ス…

フェアリーテイル ~vol2~

その弐、ポテトサラダ ばあちゃんが一度料理をすると大変なロットを作る。来る日も来る日もそれが食卓に並ぶが、結局誰も手を付けず、残飯行き。 その代表例がポテトサラダ。 自家製のじゃがいもを大なべ一杯ひたすら茹でる。「もうこれ以上耐えられません」…

フェアリーテイル

朝、ばあちゃんの味噌汁をすする。 うん、今日もまずい... 出汁も取らず、お湯に味噌を溶かしただけ。 自家製味噌を使っていると言っても、わが家の大豆を隣の麹屋さんに持って行って繕ってもらう。あとは放置するだけ。自分ではあまり手を加えて無い割には…

ウィンタースポーツ

「はい、これ飲め!」 途中でばあちゃんが窓からりんごジュースを差し出す。 どんなに寒くても、じんわり汗がにじんでくる。体力も水分も奪われ、体はヘトヘト。雪寄せ(雪かき)は重労働であり、スポーツなのだ。 こっちでは「雪かき」ではなく、「雪寄せ」…

がっこさんの有効活用

燻製小屋が何棟も連なり、屋根の方は真っ黒。 香ばしいかおりがあたり一面を埋め尽くす。 スモーク大根。 すなわち、「いぶりがっこ」の工場である。 ご近所さんからいぶりがっこ用の大根を頼まれ、視察にやってきた。 「いぶりがっこ」とは燻製したがっこ(…

たばごの時間

妊娠2か月目だが、毎日の「たばこ」は欠かせない。 6時半、朝食。 10時、たばこ。 11時半、昼食。 12時、昼寝。 15時、たばこ。 18時、夕食。 はじめてばあちゃんから「たばごにしねが?」と言われた時、私になんてとんでもないことを言うのだろうと驚いた。…

オリンピック女のリフォーム大作戦

玄関を入って廊下の一番奥の和室に私たち夫婦は間借りしている。 築40年経つこの家は10LDK。ばあちゃんの膝が悪くなってトイレを和式から洋式にリフォームした以外に、人の手が加えられていない。新築された当初は大邸宅だったこの家も、台所のあり様からも…

野を越え、山を越え

吹雪く雪山をさんない方面へぐんぐん進むなでしこのオーストラリア戦、敗戦のニュースをつながっては途切れるフルセグで視聴していた。時刻は8時半、われわれ一行は急いでいた。オセンの開店にである。おしんではない。オセンである。 スーパーオセンは岩手…

言葉の壁

学生時代、一年間トルコはイスタンブールへ留学した。 ヨーロッパとアジアの架け橋となるこの地域は昔から交易の重要な地点として栄えていた。「イスタンブール」と一言でいえども、ヨーロッパとアジア側で二分されており、二つの大陸を一つの都市がまたぐの…

水の恩恵

秋田の水はお財布にも優しい。旅行会社で働いていたころ、海外のホテルで洗った髪がごわごわしてまとまらないことがよくあった。 たとえばフランス。フランスの水道水は石灰が多く含まれているため、髪を洗うことや、洗濯、飲食にはあまり向かないらしい。だ…

せっかくだから温泉へ行こう

田沢湖まで1時間半かけて遠出し、モーグル観戦で冷え切った体に温泉へ行くこととした。 雪見風呂で有名な乳頭温泉郷と水沢温泉郷が目と鼻の先にある。 中でも乳頭温泉郷の秘湯「鶴の湯」は有名で季節問わず、全国各地からお客さんが集まる。今回は水沢温泉郷…

モーグルW杯~秋田たざわ湖大会~

「あー、モーグルね。こぶの上を滑ってきて、途中飛ぶやつでしょ?」 まるで競技をなめているとしか思えない程度の知識しかなかった私たちだったが、スピード感とその迫力に圧倒され、食い入るように選手を見つめた。 2月27日、28日と秋田県たざわ湖スキー場…

となりのにんじん

あったはずのにんじんが無い。 冷蔵庫をくまなく探してもやっぱりない。 意を決してばあちゃんは言う 「となりの○○さんにかりてくる!」 華麗に割烹着を脱ぎ捨て、軽やかな足取りで外へ。ものの数分後、無事ににんじんをゲットして帰ってきた。 翌日、スーパ…

サラリーマンからの転身

「よいしょ、よいしょ」 じいちゃんにならって雪かきしているわが夫。 スイスイと雪の中をかき分け、次々と軽やかに雪を投げて行くじいちゃんに比べ、夫の作業効率は半分以下。おまけに雪にすっぽりハマリ、救助にじいちゃんの手を煩わせる始末。 夫が農家を…

再犯防止策

わが家のお猫様には脱走癖があり、一度逃げ出すと返って来ない。 古い民家であるこの家には勝手口と正面玄関、これに加えどろんこになって農作業を終え、すぐにお風呂に入れるように作業着専用入口まで存在する。つまり、侵入経路は3か所。窓もカウントすれ…

武勇伝

強いまなざし、グレーがかった髪。太くてキリリとした眉毛。 筋の通った鼻。 日焼けで浅黒い肌。往年の名優をほうふつとさせる。 じいちゃん。御年84歳。 たまに入れ歯を忘れるが、それもご愛嬌。 わが家には立派な仏間がある。その部屋には代々のご先祖様の…

エビフライ事件

世の中には2通りの人間がいる。 片づけられる人。片づけられない人。 わが家のばあちゃんは間違いなく、後者だ。 築40年の秋田、県南にある民家へ夫と二人東京から移り住んだ。 一歩外へ出るとそこには秋田富士こと鳥海山。周りは山に囲まれ、雄大な雪景色が…