coalamogu

~農家一年生とゆかいな仲間たち~

フェアリーテイル

朝、ばあちゃんの味噌汁をすする。

うん、今日もまずい...

出汁も取らず、お湯に味噌を溶かしただけ。

自家製味噌を使っていると言っても、わが家の大豆を隣の麹屋さんに持って行って繕ってもらう。あとは放置するだけ。自分ではあまり手を加えて無い割には今年は出来が悪いと他人のせいにしたりする。

「農家のばあちゃんと言えば、長年蓄積された知恵で、地元の新鮮な野菜をその土地ならではの調理法で家族をもてなす」

これはテレビの話。ここではおとぎ話である。

朝食のごはんと味噌汁以外の昼と夕食作り一家6人分、私が一手に引き受けている。と言っても私はプロの料理人ではなく、普通のものをごく普通に作るだけ。簡単に作れるクリームシチューを目をキラキラさせながらすするじいちゃん。目にはうっすら涙。「おいしい、おいしい」とおかわりまでした。こんなにシンプルな料理でここまで感激。

「ここは戦時中なのか」

と、疑問さえ抱く。

どうやらこの家には「普通」が欠けていたよう。

数々のメニューをこしらえてきたばあちゃんだが、中でも特に衝撃的だったメニューは3つ。

その壱、カレー

「カレーをまずく作れるわけないじゃん」と思われるかもしれないが、わが家は「普通」ではない。

中辛だったカレールーを買ってきたはずなのに、

とにかく甘い。シロップ並みに甘い。

驚いてばあちゃんに、何を入れたのか聞くと悪びれる様子もなく、「さとうをしいた(入れた)だけ」と。それじゃ、「中辛の意味ないじゃん」と突っ込みたくなると同時にここまで甘さを出すには相当量の「さとうをしいた」に違いない。台所で砂糖の残量を確認するとさっき満杯に補充したはずのタッパーの半分近くがなくなっていた。

糖尿街道まっしぐらである。

つづく