coalamogu

~農家一年生とゆかいな仲間たち~

フェアリーテイル ~vol2~

その弐、ポテトサラダ

ばあちゃんが一度料理をすると大変なロットを作る。来る日も来る日もそれが食卓に並ぶが、結局誰も手を付けず、残飯行き。

その代表例がポテトサラダ。

自家製のじゃがいもを大なべ一杯ひたすら茹でる。「もうこれ以上耐えられません」とじゃがいもが音をあげるくらいぐちゃぐちゃになってきたらお湯からあげ、潰してシーチキンとマヨネーズを加える。ここまで良いのだか、フィニッシュに砂糖とりんごを加える。砂糖の量は例のカレーからも推測されると思うが、りんごは食感を楽しむ程度ではない。ひたすらすり続け、果汁と果肉でびちょびちょになる。ポテトサラダからはポテトやマヨネーズの香りは一切せず、りんごのにおいしかしない。そのまま食べると美味なりんごも調理の仕方を間違えるとただ甘いだけのペーストになってしまう。もったいない。

その参、天ぷら

人参、玉ねぎ、ゴボウ、ちくわ。

天ぷら粉ににぼし。

うんうん、ばあちゃんその調子!と応援していたら、最後にやっぱりお決まりのさとうを出してきた。さすがに天ぷらにそこまで入れないだろうと高をくくっていたら、あっけなく裏切られた。

というか、期待通りだった。

天ぷらのタネに注がれる白い粉はあたり一面を埋め尽くした。その瞬間私は我慢の限界を迎え、覚悟を決めた。

「ばあちゃん、今後は私がご飯作るよ」

視線の強さと強い語気に私の本気を感じたのだろう。

「そうか」と一言。

それからというもの、私が料理している間、お猫様が私の邪魔にならないように「子守り」に徹することになった。

ばあちゃんは文句を言わず、私の料理を口にする。もともと大の甘党なばあちゃんからすると私の料理に「甘み」が足りないのかもしれない。それでも、家族からおかわりや、「美味しい」の言葉が出てくる度に私の支持率はアップし、無事台所の政権交代がなされた。ばあちゃんに我慢させるのは申し訳ないが、一家の健康のためにも必要な「痛み」だと思う。

私が外出して帰ってくると。ばあちゃんが台所に立っていた。

夕飯はカレー。口にするとやっぱり、まずい。

スプーンを置き、お茶漬けのもとへと走った。

全く、油断も隙もない。笑